Friday, June 20, 2008

ユニバーシティー・ディストリクト

まだ、アメリカに住み始めて間もない頃は何もすることがなかった。これは日本で思い描いていた夢とは大きくかけ離れた部分でどうしようもない思いをどこへぶつけることもできずにひたすら住んでいた「ユニバーシティー・ディストリクト」を歩き回る日々が続いた。
日本にいた時はアメリカに住めば陽気なアメリカ人の友達とカフェでお喋りをしたり、キャンパスの芝生の上で丸くなってテキストを膝の上に載せて様々な話題を話し合ったりという思いを描いていた。ただ、そんな思いも虚しく英語も大して話せない極東から来た一学生を相手にしてくれる人は誰もいないことを思い知らされた。それでもまだ平日は学校もあるし、それなりに話す相手もいたが、土日は一人ぼっちのことが多かった。家にいても面白くないし、とにかく外へ出た。外に出てボーッと立っているわけにも行かないのでその辺をグルグルと歩き回る。するとそれはそれで発見はあるもので気を紛らわせるには丁度良かった。
始めは大学周辺のお店が密集しているユニバーシティーウェイという通りを中心に散策していたが、この辺はお店とかレストランとかがメインで数ヵ月後にはその辺のレストランは一通り食べ歩き(ただ、安いレストランのみ)、一応その通りは制覇した。
その後、ユニバーシティーウェイに直角に交わるNE 45th St.という大通りを西へ向かう。この通りを西へ向かうとWoodland Park Zooがあるのだがその時はまだ知らなかった。この通りを西へテクテク歩いていくとI-5(Interstate 5)という西海岸を北から南へ貫くハイウェイと交差する。I-5をまたぐ様に45th St.は通っており、高架橋から見るダウンタウン・シアトルの眺めはなかなかのものだった。片側6斜線ぐらいあるI-5はやはりアメリカの車社会の象徴のように見えたし、それがダウンタウンの高層ビル街に続く光景はいつかアメリカ映画で見たものを思い起こさせた。あの光景を見ていると孤独でありながらそれでもまだ心を奮わせる何かをあの土地から感じていたような気がする。
その高架橋を南へ向かってI-5に沿って南に下ると「Gas Works Park」という場所に出る。ここは何の工場なのか不明だがガス工場?だったのだろうか・・・名前からすると(笑)。赤茶けて錆付いた施設が何となく芸術作品っぽい不思議な場所です。そこからのユニオン湖を手前にしたダウンタウンの眺めはシアトルらしい光景でアルカイビーチからのダウンタウンの眺めにも負けない場所だと思う。映画などでも利用されているが「The Fugitive」というニック・ノルティーとマーティンショートの主演の映画にこのガスパークが出てきます。いい映画なので見たことのない方はビデオ屋さんへ行って借りてください。邦題は「3人の逃亡者」です。

やはり人間はどこかへこもっていたり、ただ単に何かが起こるのを待っているのではなく自分から行動を起こすことが大切です。アメリカでの生活は夢破れて辛いことが多かったですが、その代わりに大切なことも沢山学んだ時期だったと、今は思えるようになって来ました。