まだ小学生だった私には何か良くわからない衝撃的なCMだった。
今から考えると小さい時に見たCMをいつまでも覚えているよう気がする。どんなCMだったかよく覚えてないがオートバイの750CCが出た頃だと思うが、「ナナハンと呼んでください」というフレーズが今でも頭から離れない。多分、それは石井いさみ著の「ナナハンライダー」に出てくるHONDA Dream 750Fという名車のCMだったのではないかと思う。その他にもTDKの山下達郎の「Ride on Time」を起用したものや、NISSANケンメリスカイラインのCMなど数々の心に残る作品がある。最近はそんなCMもYoutubeなどで探せば見つかる物もあり、便利な世の中だとつくづく思う。昔だったらテレビのCM特集などを楽しみにして観ていたが、今では自分が好きな時間に探せるのだからついつい酒を飲み過ぎながら夜更かしをしてしまう。
このCMも特に印象に強いのと主人公を演じた松田優作という稀にみる個性的な俳優が主演を演じた映画のCMだったということもある。この映画は角川映画が大ヒットした「犬神家の一族」の後に望んだ第二作品という意気込みもあった。CMは切ないピアノと「母さん、僕のあの帽子、どうしたでしょうね?」という松田優作の朗読から始まり、ジョー山中の英語訳の歌詞が続く、、、これは何のCMなんだ?という興味を引く演出で構成されたCMは当時の誰もが口ずさんだものだ。最近のCMは変に気をてらったものが多いが、うちの子供達が大きくなった時にどんなCMを覚えているだろうか。
人間の証明 角川映画
帽子
西条八十
母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?
ええ、夏、碓氷から霧積へゆくみちで、
谷底へ落としたあの麦わら帽子ですよ。
母さん、あれは好きな帽子でしたよ、
僕はあのときずいぶんくやしかった、
だけど、いきなり風が吹いてきたもんだから。
母さん、あのとき、向こうから若い薬売りが来ましたっけね、
紺の脚絆に手甲をした。
そして拾はうとして、ずいぶん骨折ってくれましたっけね。
けれど、とうとう駄目だった、
なにしろ深い谷で、それに草が
背たけぐらい伸びていたんですもの。
母さん、ほんとにあの帽子どうなったでせう?
そのとき傍らに咲いていた車百合の花は
もうとうに枯れちゃったでせうね、そして、
秋には、灰色の霧があの丘をこめ、
あの帽子の下で毎晩きりぎりすが啼いたかも知れませんよ。
母さん、そして、きっと今頃は、今夜あたりは、
あの谷間に、静かに雪がつもっているでせう、
昔、つやつや光った、あの伊太利麦の帽子と、
その裏に僕が書いた
Y.S という頭文字を
埋めるように、静かに、寂しく。
Friday, August 31, 2012
昭和の街角 コマーシャルの想い出
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