Wednesday, July 25, 2012

昭和の街角  街の映画ポスター

子供の頃、街を歩いているといろいろなものがあった。今だって色々なものがたくさんあって目を楽しませてくれるがあの映画のポスターほど楽しいものはない。映画のポスターが駅の近くとかに貼ってあるのはよくわかる。その近くに映画館とかあってそこで上映しているものを宣伝している。でもうちは駅からも遠いし、映画館が近くにあるわけでもない。でもなぜかあの交差点の国道に面した木の塀に打ち付けられた雨に濡れないようにちょっとだけひさしの付いたボードに映画のポスターは貼られていた。 ポスターは定期的に変更された。通常2つのポスターが貼られていてどちらも有名な映画のポスターがはられているのは見たこともない。いつも貼られているのは成人映画のポスターだった。もちろん成人映画、いわゆるポルノ映画だからそのポスターはそれなりに中学生ぐらいの年齢の男の子の目を釘付けにする。あのころはそんなポスターを見るだけでもドキドキするぐらいだからかわいいものだ。ポスターはなぜかいつまでも貼られていた。ボロボロになって「そろそろかな」と思うといつの間にか新しいポスターに張り替えられている。しかし、あのポスターはすごい。本当にすごい。何気なく普通の通りに貼られているだけなのに通ると必ず見てしまう、、、俺がただ助平なだけか?いや、あれはこの近所の誰もが通るたびに見ている、、、そして次の新作を楽しみに毎日毎日通っていたに違いない。あのポスターを見るだけでいろいろなことを想像する。通りがけにちらっと見るだけでわくわくするのにそれから想像を膨らますのだからあのポスターの宣伝広告効果は計り知れないものがある。 ただ、あのポスターを見たからと行って成人映画を見に行くことはなかった、、、もちろん未成年だったからということもあるが、たとえ大人でも見には行かなかっただろう。ポスターから想像するだけで十分でチケットの購入まではたどり着かない。ふっと考えるとその宣伝効果は本物だろうかと考える。何をもってすばらしい広告と言えるのだろう?? そんなことを考えながらあの交差点を通りかかる、、、ポスターが貼られた交差点の角の家はもう取り壊されて時間貸しの駐車場になっている。あの塀があったころは見通しの悪い交差点だったが、今は比較的視界がいい。ただ、あのポスターがあった時は信号が点滅していたらすぐに止まったが、今はかなり強引に渡ってしまおうとする。ポスターはもっと広告効果のほかにもっと違った効果をもたらしていたのかもしれない。